不動産特定投資運用業

不動産信託受益権等を投資対象とする不動産ファンドの運用を行うためには、金商法に基づき「投資運用業」の登録を受ける必要がありますが、不動産ファンドの運用を行う投資運用業を特に「不動産関連特定投資運用業」といいます。

不動産関連特定投資運用業を行うためには、国交省が管轄する「不動産投資顧問業登録規程」に基づき、総合不動産投資顧問業者として登録を受けていることが必要です。

<総合不動産投資顧問業の登録>

総合不動産投資顧問業者として登録を受けるためのポイントは、人的構成要件を満たすこと、兼任・兼職の禁止に抵触しないこと、社内規則を整備するです。

1 人的構成

役員又は重要な使用人に「判断業務統括者」が置かれていることが必要です。判断業務統括者は次の2つの要件を満たす必要があります。

〇 知識要件
不動産証券化協会認定マスターなど、不動産流通近代化センター、日本ビルヂング経営センター又は不動産証券化協会の行う事業であって国土交通大臣の登録を受けたものの証明を受けた者あるいは不動産鑑定士の資格を有する者等であること

〇 経験要件
数10億円以上の不動産に関する投資、取引又は管理に係る判断の経験があり、これらの判断に係る業務に2年以上従事していること

2 兼任・兼職の禁止

代表取締役、判断業務統括者その他の重要な使用人は、他の業務の兼任ができません。また、他の会社の役職員を兼職する場合は、他の会社においては非常勤である必要があります。

3 社内規則

社内規則(20種類以上になります)の整備が必要です。なお、社内規則の整備は金商法でも求められています。

<不動産特定投資運用業の登録>

不動産特定投資運用業の登録については、以下のポイントの整理が必要です。

〇 兼業規制

投資運用業者は(二種業者や助言業者と異なり)、本業(金融商品取引業)以外の業務の範囲が限定されています。

まず、本業に付随する業務です。金商法35条1項に掲げる行為は付随業務の一部です(例示列挙)。

次に、届出業務です。金商法35条2項及び金商業等府令68条に掲げる行為が届出業務のすべてです(限定列挙)。現物不動産の投資に関する助言を行う業務は届出業務です。

最後に、承認業務です。金融庁(財務局管轄は財務局)の事前承認を得なければできない業務です。

投信法に規定する特定資産の運用を行う行為は原則として付随業務ですが、現物不動産の運用が除かれているため、現物不動産の運用を行う行為は承認業務です。

〇 役員

投資運用業者の役員は他の会社の役員を兼職することとなったとき又は退任したときは(二種業者や助言業者と異なり)、金融庁(財務局管轄は財務局)に届出を行う必要があります。

なお、金融庁の立場からも国交省の立場からも、代表取締役は他の会社の役員等を兼職しても、他の会社においては非常勤であることが必要です。