35条-3(業務管理体制の整備)
社内研修の未実施は登録取消し事由

金商法35条の3に規定する業務管理体制の整備ができていない状態は登録拒否事由なので、金商業者として登録を受けようとする登録申請者は、必ず、業務管理体制を整備しておく必要があります。

金商法35条の3の具体的な内容は、金商業等府令70条の2に規定されています。

金商業等府令70条の2・1項で、金商業者は「社内規則の整備」と「社内研修の実施」が求められています。

社内規則に関しては、金商業を適確に遂行するための社内規則等の整備が求められます。

社内規則等と「等」と言っているので、社内規則以外の決め事、例えば、事務取扱要領などの社内規則の実施要領などを含みます。

社内規則に関しては混乱している人がいます。

原則として一種業者(証券会社)は日本証券業協会、二種業者は二種業協会、投資運用業者は投資顧問業協会などに加入することが金商法で義務付けられています。

例外として、日本証券業協会や二種業協会や投資顧問業協会の定款や規則に定める内容の社内規則を整備している金商業者に限っては、協会に加入しないことができると条文上なっています。

このことから、「協会に加入している金商業者は必ずしも社内規則を整備する必要がない」と理解している人がいますが違います。

金商業者は、協会に加入していてもしていなくても、金商法35条の3という別の条文から社内規則の整備が求められています。

なお、社内規則を整備すれば協会に加入しなくても良いという条文はありますが、登録実務においては、協会に加入しないで一種業者、二種業者、運用業者として登録を受けることはまずできません。

金商業等府令70条の2・1項は、金商業者に社内研修の実施も求めています。

求められている社内研修は、従業員が社内規則を遵守するための社内規則に関する社内研修です。

ですから、例えば、社内研修としてパワハラ研修を実施しても、金商法35条の3の業務管理体制を整備して殊にはなりません。

業務管理体制の整備ができていない状態は、登録拒否事由です。

登録拒否事由に該当する状態は、登録取消し事由です。

したがって、金商法35条の3の業務管理体制が整備されていない状態は、登録拒否事由であることに注意が必要です。