常務と常勤

以前もメルマガに書いた「常務に従事する」の意味について、東京財務事務所第8課の猿子(ましこ)さんと話をしました。

コロナでお会いしたことはありませんが、常務と常勤をきちんと分けて頭を整理されていて、電話で話をしている限り、よく勉強されている優秀な方だと思いました。

以前、財務局は「常務」を「常勤」と読み替えあるいは混同し、常勤性を重視する傾向にありました。

例えば、コンプライアンス担当者は「常勤」が必須であるという前提で、何日出勤すれば常勤になるかということが当局と金商業者の間で議論されていたことがあります。

私が、以前からこの議論はまったくおかしいと疑問を呈してきました。

常勤とは、常勤監査役などに使用される単語です。

常勤監査役は、所属する会社に常勤することによって、会社の実情を把握し、非常勤監査役に実情を伝達する機能を持つために設けられている制度です。

これに対し、先ほど例に挙げたコンプライアンス担当者は、常勤であることによって何らかの機能を負うものではありません。

ですから、常勤である必要性はないと考えられます。

また、監督指針にある「常務に従事する役員」ですが、これはあくまで「常務」であればよいわけで、別の言い方をすると、他社と兼職することで金商業者における本来の業務ができない場合にのみ要件を満たさないのであって、他社と兼職していないあるいは兼職していても、他社における業務の比率が小さいなどの理由で、金商業者における本来の業務に影響がない場合には、月1回の勤務でも常務に従事していると認められると考えます。

もっとも、この場合、月1回の出勤で本来の業務を完遂することができることが当然の前提条件です。

代表者もしかり。常務に従事していて、代表者としての機能を果たしてればよいわけで、毎日出勤する必要はないと考えるべきでしょう。

これは、コロナ禍で出勤できない役職員が増えた現在において、当然に金商業者と当局の間で議論されるべき話題です。

以上のような理解で実務的に支障があるとすると、役員等及び政令で定める使用人の就任・退任届書において、常勤・非常勤の別に丸を付す欄がある点です。

常勤であれば業務に支障がないが、非常勤では業務に支障が出るということは証明できないし、実際違うでしょう。

常勤・非常勤の別は、兼職の有無に変更する必要があると考えます。

以上から、金商業者の代表者やコンプライアンス担当者は、コロナ禍でも出勤がMUSTであるわけではなく、各々の職務を完遂できるという大前提が満たされているのであれば、まったく出勤しなくても問題ないと私は考えます。