暗号資産=改正金商法

暗号資産=改正金商法

2019年4月8日のメルマガからの抜粋です。


5月31日に国会で成立した改正金商法で、暗号資産(現在の仮想通貨)が金商法に規定する「金融商品」になります。また、暗号資産が、組合等出資持分の取得のための金銭及び有価証券の売買の決済のための金銭とみなされます。

この結果、暗号資産に関する規制環境が大きく変わります。

今回の金商法の改正は、暗号資産交換業者(現在の仮想通貨交換業者)にとっては、かなりのインパクトとなる改正である一方、既存の金商業者にとっては、ほとんど影響がありませんが、比較的大きな金商法の改正ですので、取り上げておきます。

1 企業の資金調達方法に、暗号資産を出資の手段とするICO(Initial Coin Offering)という方法があります。ICOの実態は、(時として巨大な)クラウドファンディングです。

クラウドファンディングは、通常、二種業務ですが、ICOはクラウドファンディングであるにもかかわらず、従来、二種登録なしに行うことができました。理由は、金商法が規制するクラウドファンディングは、出資の手段が「金銭」(法定通貨)に限られていたからです。

暗号資産が出資の手段であるICOは、金商法が規制するクラウドファンディングではないとされていたわけです。

今回の金商法の改正で、暗号資産が組合等出資持分の取得のための金銭とみなされたため、ICOに係る権利の取得勧誘も、金商法の規制を受けることになります。

ただし、以上の説明から、ICOに係る権利は、当然、「金商法2条2項に掲げる権利」ですが、ICOに係る権利に適用される規制は、一種業務に係る規制であると定められました。この結果、次のようになります。

まず、ICOに係る権利は、募集の定義に関して、「一項有価証券」と規定されます。つまり、50人の取得勧誘規制に従うことになります。

次に、ICOに係る権利は、開示規制の適用に関して、開示規制の適用対象から除かれる「金商法2条2項に掲げる権利」から除かれています。除かれて除かれているため、結局、ICOは、開示規制の対象になります。

さらに、ICOに係る権利の募集の取扱いを行う者は、電子募集取扱業者に限られることになります。(暗号通貨はネット上にしか存在しないため、取扱業者は、一種業者ではなく、電子募集取扱業者に限定される。)

2 暗号資産が金融商品と定義されたため、暗号資産の売買に関する助言(暗号資産に係る投資判断に関する助言)を行うことができる者について、現在は、規制が存在しませんが、助言業者に限られることになります。

3 金商法の基礎知識の確認ですが、金商法で「金融商品」とは、金商法で規制するデリバティブ取引の原資産を意味します。

暗号資産が金融商品と定義されたため、暗号資産を原資産とするデリバティブ取引(スワップ取引やオプション取引など)も金商法の規制対象となることから、暗号資産を原資産とするデリバティブ取引を業として行う者について、現在は、規制が存在しませんが、一種業者に限られることになります。

4 暗号資産が金融商品と定義されたため、暗号資産を原資産とするデリバティブ取引(スワップ取引やオプション取引など)も金商法の規制対象となることから、暗号資産を原資産とするデリバティブ取引を対象とする運用業務を行う者について、現在は、規制が存在しませんが、運用業者に限られることになります。

5  暗号資産とは関係のない改正点として、従来、二種業者は、法令上は、個人(一人)でも登録を受けることが可能でしたが、法人に限られることになります。

その他、暗号資産関連業務を行う金商業者の行為規制に係る特則や、暗号資産の取引に関する不公正取引規制に係る特則が設けられています。

改正法は交付の日から1年以内に施行されます。

最初にお話しした通り、今回の改正は、既存の金商業者にはほとんど影響がありませんが、例えば、既に、暗号通貨の売買に関する助言を行っている助言業者など、暗号通貨関連業務に従事している金商業者は、経過措置に注意する必要があります。


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