金商業者の組織再編3

金商業者の組織再編3

2019年3月4日のメルマガからの抜粋です。


無事、新設会社の登録申請手続きが終わり、二種業者が新設会社に二種業務を承継をさせることができるようになったら、分割契約で定めた効力発生日に、二種業者から新設会社に二種業務に関する権利義務が、包括的に承継されます。(資産の所有権等に関する第三者対抗要件の具備は別途必要。念のため)

さて、実務的には、こういうことが起きます。

例えば、新設会社において、4月1日から二種業務を開始できるように、3月31日を効力発生日としたんだけれども、3月31日が、かねてから交渉が進んでいた不動産信託受益権の売買の契約日であり、3月31日は、分割会社である二種業者が二種業務を行いたい場合、二種業者は、二種業務を行うことができるか。

当然のことですが、二種業者が二種業務を行っている間は、新設会社は二種業務ができません。したがって、この場合、3月31日までは分割会社である二種業者が二種業務を行い、4月1日から承継会社である新設会社が二種業務を行うことになります。

また、実務的には、こういうことが起きます。

事業報告書には、過去に私募の取扱いを行った案件を記載することが求められますが、承継会社である(新)二種業者は、分割会社である(旧)二種業者が過去に行った私募の取扱い案件を記載する必要があるか。

分割は、分割会社から承継会社に事業に関する権利義務を包括的に承継させる行為です。ところが、(契約の内容にも寄りますが)私募の取扱い契約にかかる権利義務は、発行者(売主)と取得者(買主)の間で譲渡契約が成立すると消滅します。したがって、分割会社である(旧)二種業者が過去に行った私募の取扱い案件に関しては、承継会社である(新)二種業者に、何も承継されていないことになります。

このことから、承継会社は、分割会社が過去に行った私募の取扱い案件を、事業報告書に記載する必要がないと考えます。

さらに、実務的には、こういうことが起きます。

承継会社である(新)二種業者に証券取引等監視委員会(財務局)の検査が入ったとき、分割会社である(旧)二種業者が行った金商業務に係る取引は、検査対象になるか。

理屈ではなく、実務的に考えて、検査対象になるでしょう。

問題は、検査において、分割会社が行った取引の中に、行政処分に値する法令違反が見つかった場合、承継会社が、行政処分を受けなければならないのかです。

これも理屈ではなく、実務的に考えて、処分の根拠条文は変わるかもしれませんが、承継会社が行政処分を受けることになるでしょう。

では、これまで、承継会社は、分割会社である(旧)二種業者が設立した会社であることを想定していましたが、承継会社が、分割会社である(旧)二種業者とは関係のない会社だった場合にも、承継会社は、分割会社が行った違法行為に関連して、行政処分を受けるでしょうか。

これは、実務的に考えて、承継会社は、行政処分を受けないでしょう。行政処分を受けるとすると、分割会社の方ですが、既に金商業者でない分割会社に行政処分をすることができるのかどうか難しいところです。少なくても、このシリーズの第一回目のメルマガに書いた「報告徴取命令違反」を問うことは可能だと考えます。


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