金商業者の組織再編1

金商業者の組織再編1

2019年2月18日のメルマガからの抜粋です。


金商業者のM&Aを含む組織再編の質問が少なくないので、今日か数回にわたり、組織再編の話を、金商法の実務に沿って行います。

組織再編とは、会社の合併、分割、株式交換、株式移転を指します。分割と経済的には同じ効果をもたらす株式譲渡は、会社法上、組織再編行為ではありません。

私は、実際、金商業者の分割をサポートさせていただいたことがあります。

分割とは、分割する側の会社(事業を切り離す会社)が、事業に関する権利義務の全部又は一部を承継する側の会社(事業を譲り受ける会社)に承継させる行為です。

分割する側の会社は、「分割会社」と呼ばれます。一方、承継する側の会社は、吸収分割の場合は承継会社、新設分割の場合は設立会社と呼ばれます。

吸収分割とは承継する側の会社が既存の会社である分割のこと、新設分割とは承継する側の会社が新設される会社である分割のことです。

では、例えば、二種業者が、二種業務に関する権利義務の全部を他の会社に承継させようとする場合、次のいずれが正しいでしょうか。

1 吸収分割しか選択できない
2 新設分割しか選択できない
3 吸収分割も新設分割も選択できる

このとき考えなければならないことは、二種業者から権利義務(要するに二種業務)を承継しようとする会社も、二種業者でなければならないという金商法上のルールです。

例えば、二種業務を兼業する宅建業者が、二種登録を受けていない宅建業者に二種業務を承継させることができるでしょうか。

結論からいうとできません。なぜか。二種登録を受けていない宅建業者は、二種業者としての登録審査を受けていないからです。経営者の審査も受けていないし、内部管理体制の審査も受けていない会社に、会社分割という金商法外の手続のみで、金商業務を行わせるわけにはいかないのです。

したがって、二種業者から二種業務を承継する会社は、二種業者でなければならないわけです。

新設分割においては、設立会社が二種業者ではあり得ないので、二種業者が、二種業務を他の会社に承継させようとするとき、新設分割を選択することはできず、吸収分割しか選択できないことになります。

では、二種業者は、新設した会社に二種業務を承継させることはできないのか、というと、実務上、新設した会社に二種業務を承継させることは可能です。

「うん?新設分割は選択できないと言ったのに何を言っているのかこの人は?」と思うかもしれません。

新設分割ではなく、吸収分割で新設した会社に二種業務を承継させることができるということです。

もう一度、吸収分割と新設分割の説明に戻ると、吸収分割とは分割会社が既存の会社に事業に関する権利義務を承継させる行為です。新設分割は、分割会社が新設される会社に事業に関する権利義務を承継させる行為です。

新設分割は、「新設した」(既にできている)会社に事業に関する権利義務を承継させる行為ではなく、「新設される」(まだできていない)会社に事業に関する権利義務を承継させる行為です。

したがって、二種業者が、会社を新設し、新設した(既に登記も済ませた)新設会社に二種業務を承継させる行為は、新設分割ではなく、吸収分割です。

財務局に対する手続面についていうと、二種業者は、まず、空の会社を新設して登記も済ませます。そして、財務局に対し、この空の会社が二種登録を申請するところから手続を開始することになります。

すると、疑問が生じませんか?空の会社が、二種登録を受けることができるのかと。


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